ディティールの細かい小説。
とにかく、肉体的感覚に訴えてくる。
臭気がすごい。
私は映画から先に入ったクチなのだけど、この「匂い」は映画では味わえない。
映画に比べ、主人公の若槻と恋人の恵の描写が非常に細かい。
菰田幸子は最初に映画を見たので大竹しのぶのイメージが強烈だったのだけど、原作の中ではどちらかというと、「カレー事件」の容疑者に近い感じである。
作品のほうが先なようなので、それもちょっとコワイ(^^;;
原作の中で出てくる虫も非常に面白い効果を出している。
繰り返し現れる蜘蛛や、最後のシーンで突発的に思い浮かべる蟻などは夢判断と合わせてみても興味深い。
生身の苦痛が嫌いで、コドモが指の先をちょっと剥いたくらいでもくらくらする私。
映画の中でも主人公が痛めつけれらるシーンは苦手だ。
でも、それが犯罪者側の目線で行われていると目が離せなくなり、もっと血なまぐさいシーンをと望んだりする。
結果的に切り刻まれて無残な肉の破片に成り果てた人間からも目が離せない。
ちょっと病気なんじゃなかろうかとも思う。
ゾンビが好き(いや、好きというにはちょっと違うけど)なのはそれらの集大成だからだと思っている。
身近にある「死」には身震いして遠ざけていても、知りたくて知りたくてたまらないのが根底にあるからなんだろうか。
「黒い家」はあくまでも主人公の目線なので殺人者がこれでもかという恐怖を与える。
そして、血なまぐさい家の描写のおかげでスプラッタ的にも満足できる仕上がり(笑)
コワイのが好きな方にお勧めです。