本好きと豪語してるにも関わらず、芥川作品に疎い私です。
よって、羅生門も読んでおりません。
この映画の場合、羅生門というより、「藪の中」という作品の方が色濃いらしいですが、そちらも未読。
よって、この作品が「黒澤マジック」でスゴいのか、「原作の力」でスゴイことになってるのかイマイチ分からない(笑)
これを観る前に「アンダーワールド」という、佳作ながら出来がよく、現在の映像技術のトップレベルに近いものを観ていただけに、この大昔の作品が古臭く感じられるのではないかと心配していたのです。
んが、当たり前と言うか、杞憂でございました。
確かに、カメラワークや音の使い方が古めかしいとも感じます。
しかし、それ以上に画面が瑞々しい。
荒っぽい森の中の描写、羅生門下の荒れた描写、切り替わる場面の切り口がどれも瑞々しいのです。
「勢いのある作品」って感じですかね。
三船さんの泥臭くてギラついた演技もすごくよかったけれど、私的に、京マチ子がすごかったなぁ。
お話そのものが、目を背けたいような人間の醜さなので、そのなかで眩しいくらいに白く浮かび上がる彼女の姿が美しかった。
美しい姿なのに、あの演技。うーむ、素晴らしいー。
アカデミー外国語映画賞を取ったそうですが、ここらへんでアカデミーの限界感じるなぁ。
ヴェネチアで金獅子とってることを考えるとそう思ってしまいます。
かなわぬ願いだとは思いながら、公開当時にこの斬新さや新鮮さをもっと感じたかった。
(マトリックスをまったく前情報なしで観たかったのと同じくらい思う・・・(^_^;;