ジョニー・デップ主演で、伝説の麻薬ディーラー「ボストン・ジョージ」の人生を描いた作品。
ドラッグがどうとかというより、家族、友人、妻、娘など、彼を取り巻くその境遇に焦点を当てた作品となっている。
劇中、ユングの弁護士役としても出演しているテッド・デミ監督は、「羊たちの沈黙」などで知られるジョナサン・デミ監督の甥だそう。
特典映像でも、ユング本人とのインタビューシーンが収録されている。
このテッド・デミ監督自身のその後を知ると、余計深く考えさせられる。
この映画を観ようと思っている人は、観た後に調べてもいいし、ここでは敢えて触れません。
これ以上はネタバレということで。
テッド・デミ監督は、その後の2002年に心臓発作により38歳で急逝。
この作品が遺作となっています。
4歳になる娘、2ヶ月の息子がいたそうですが、遺体からは少量のコカインが検出されており、死因を誘発した一因と言われているようです。
特典映像の中で、テッド・デミ監督がユングに言っていた「あなたと会って、人生が変わった」という言葉の意味が、とても深くのしかかってきます。
事実関係は詳しく知りませんから、これ以上どうこう言うつもりは無いですが、僕にも年のころが似た子供達がふたりいるわけで。
監督が一番伝えたいと言っていたこと、それは一番伝えたい人たちに伝わったのだろうかと、この事実を見て心配になります。
ラストシーンに娘が面会に来る妄想シーンがありましたが、何の救いも無い映画です。
罪の重さを考えれば、救いなど無いのが当然なんですが。
はっきりいえるのは、娘を持つ父親として、父の日に観るべき映画としてはちょっと重すぎ。
ジョニー・デップがますます好きになりました。
うーん、すごいなぁ。
軽薄でなく飄々と、重たすぎずに深みがある。
もちろん、観てるこちらが勝手にもった主観と言ってしまえばそれまですが。
例えば、ドラッグで子供や近しい人を失った人間がジョージ・ユングに対してひいてはこの映画に対してどういう感情を持つのかわからないし。
ましてや彼の娘がもしこれを観ていたらどういう思いだったかなんて想像もできない。
麻薬に触れることも、近づくこともなく安穏と過ごしてきた異国の人間の持った主観的感想に過ぎないのです。
私に想像できるのは、一番大事なものを自分で失った彼の哀しみだけ。
ラストシーンで涙がこぼれました。