ハンニバル

リドリースコット監督作、アンソニー・ホプキンス、ジュリアン・ムーア主演。
私の感想はあくまで「原作を先に読んだ者」としての感想です。
なので、原作を読まずにこれから映画を見ようとしてる方はこの先はお読みにな
らないほうがよいかもしれません。
これは、「映画版ハンニバル」であり、「ハンニバルの映画化」ではないんです
な。
ラストまで見てまず思ったのは、「ええ?これだったら別にジュディ・フォスターが演ってもよかったんじゃ?」
でした。
ラストが原作と違いすぎ(^^;
特に、前半がイメージ的にかなり上手く再現されてるので余計にそう思う。
もちろん、映画の器に収めるために仕方ないということと、原作そのままに作る
と「大衆娯楽」からは逸脱してしまう恐れが多分にあるからなのは分かるんだけ
ど。
こう、「大事なもの」が抜け落ちてしまっている感じがする。
最後の食事のシーンは全体のクライマックスなのだけど、映画のほうは「脳みそを調理して食べる」ことのグロさを出してるだけという感
がぬぐいきれない。
しかも、あれをクラリスが食べるかどうかで話はえらく変わってしまう。
原作での優雅な調理シーンも映画の中では目にすることができなくて、原作の脳
みそは美味そうだったのに、映画では美味そうじゃなかったなぁ。
あれじゃ、ただ焼いただけじゃん(^_^;
クラリスとレクターの関係も、非常に重要な存在であるレクターの妹の存在がまっ
たくないので曖昧な感じ。
ただの男女になってしまいそうな危うさをホプキンスの演技でカバーしているよ
うにも見える。
ヴィジュアル的には非常にイメージに近くできてるのでシナリオのアラが非常に
目立つ。
作品を愛しているが故の酷評なんだけどね…。
「シャイング」もラストが原作とまったく違ってキング氏がとってもお怒りになっ
たそうだが、あれは「映画版シャイニング」としてみるとキューブリックの独特の世界観で上
手く仕上がっていると思う。
原作では濃厚に描かれている「父親の愛情」は見られないけれど、「ホラー映画
としての完成度」を取ったのだとすれば成功と言えるだろう。
「ハンニバル」をそれに比べるとどうも見劣りがするような。
もちろん、原作を読んで頭の中に「最高のイメージ」ができてるから辛くなるの
だけど。
よだれをたらして見るのを待っていた私にはちょっと肩透かしを食らった感じで
す。
でも、アンソニー・ホプキンスは相変わらずステキです。
ラスト近くの微妙な演技、最高っす。

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